
猫ちゃんがカリカリを食べてくれない….
カリカリは食べないのにおやつは食べる…そんな愛猫の様子に悩む飼い主さんは多いのではないでしょうか。
毎日のごはんを食べてくれないと、栄養面や健康に不安を感じますよね。
この記事では、猫がカリカリを食べない理由とおやつばかり欲しがる時の対処法を、獣医師監修の情報をもとに解説します。
フード選びの見直しポイントも紹介するので、愛猫の食事改善にぜひ役立ててください。


猫がカリカリを食べずおやつばかり欲しがる理由
愛猫がドライフード(カリカリ)を食べずにおやつばかり欲しがるのには、いくつかの原因が考えられます。
まず、猫という動物はもともと偏食が強く、一度「安全で美味しい」と認識したものばかりを好む習性があります。
おやつは風味や食感が良く猫の嗜好に合うため、いつものカリカリより魅力的に感じてしまうのです。
特に開封後時間が経ったドライフードは香りが落ちて風味も劣化するため、新鮮で匂いの強いおやつに比べて美味しくないと感じることがあります。
また、日頃からおやつを与えすぎている場合、猫がお腹をある程度満たしてしまい主食を食べなくなるケースもあります。
飼い主が欲しがるままにおやつをあげ続けると、猫は「ごはんを食べなくてもおやつがもらえる」と学習してしまい、ますます偏食がひどくなってしまいます。
いわばおやつの味を覚えてワガママになっている状態で、飼い主側のしつけや与え方にも原因があるといえるでしょう。
一方で、体調面の問題にも注意が必要です。
フードを食べない原因が単なる好き嫌いではなく、何らかの不調や口内トラブルの場合もあります。
例えば歯周病や口内炎でカリカリを噛むと痛みがあるとき、猫は噛まずになめられるおやつ(チュールなど)ばかり食べることがあります。
また、軽い体調不良やストレスで食欲が低下していると、普段は食べていたフードを急に食べなくなり、大好きなおやつだけ口にすることもあります。
元気や水分は足りているか、他に下痢・嘔吐などの症状はないかも確認し、単なる偏食か病気のサインか見極めることが大切です。
おやつばかり食べることの問題点・健康リスク
おやつ中心の食生活には主に3つの健康リスクがあります。
まず肥満のリスクです。
市販のおやつには脂肪分や糖分が多いものが多く、食べ過ぎると摂取カロリーオーバーによる肥満につながりやすくなります。
太りすぎた猫は糖尿病や心臓病、肝臓病など様々な病気のリスクが高まるといわれています。
次に栄養バランスの偏りも深刻です。
おやつばかり食べていると、総合栄養食であるカリカリから摂るはずのビタミンやミネラル、タンパク質などが不足し、栄養失調や体調不良を招く恐れがあります。
そして偏食の固定化にも注意が必要です。
濃厚なおやつの味に慣れた猫はますます普通のフードを食べなくなり、好き嫌いが悪化してしまいます。
このように、おやつばかり与えることは猫の健康にも習慣にも良くない結果を招いてしまいます。
猫にカリカリを食べてもらうための対処法
キャットフードの種類や風味を見直す
まず今あげているキャットフード自体を見直してみましょう。
猫がカリカリを食べない場合、フードの風味や原材料が好みに合っていない可能性があります。
思い切って別の製品に切り替えてみることも有効です。
例えば今より品質の良いタンパク源(肉や魚)を使ったフードに変えてみると、嗜好性が上がり食いつきが良くなる場合があります。
特に穀物が多めのフードより、肉類中心のフードの方が肉食動物である猫には好まれやすい傾向です。
また、愛猫がお気に入りのおやつと同じメーカーのフードを試してみるのも一つの手です。
同じブランドであれば素材や風味の系統が似ているため、受け入れてもらえる確率が上がるでしょう。
さらに、ドライフードの鮮度管理も重要なポイントです。
大容量パックを長期間かけて使っていると、風味が落ちて途中から食べなくなる猫もいます。
その場合、小さめのパックを購入して早めに使い切る、開封後は密封容器で保存するなどして風味を保つ工夫をしてください。
新しいフードに切り替える際には、一気に全部変えてしまわず徐々に混ぜて慣らしていくことも忘れずに。
突然の変更は猫が警戒して食べなかったり嘔吐したりする原因になるため、旧フードに新フードを少しずつ混ぜ、10日ほどかけて完全に切り替えるとスムーズです。
おやつの与え方を工夫・制限する
偏食を直すには、おやつの与え方を見直すことが不可欠です。
ついおねだりされるとあげてしまいがちなおやつですが、まず量を減らし頻度をコントロールしましょう。
おやつはご褒美やコミュニケーションの時だけ与え、日常的にだらだら与えないようにします。
特にごはん(主食)を食べた後に限っておやつを少量あげるようにし、先におやつでお腹を満たさない工夫が効果的です。
猫がおやつを欲しがって鳴いても、決まった時間までは与えないようにしてみてください。
気まぐれに要求に応えてしまうと、「鳴けばおやつがもらえる」と猫が学習し、ますます主食を食べなくなってしまいます。
加えて、おやつの適量を守ることも大切です。
おやつやトッピングなど補助的な食品は、1日の総カロリーの10%以内に抑えるのが望ましいとされています。
与えすぎていた分を減らしていけば、猫もお腹が空いてきて、多少気に入らないフードでも食べるようになるでしょう。
最初は渋々でも、一度主食を食べる習慣がつけば健康的な食事ペースに戻っていきます。
愛猫の健康のため、心を鬼にしてメリハリのあるおやつ管理を実践しましょう。
食べやすい工夫をして誘導する
フードそのものやおやつの管理と合わせて、給餌方法にも工夫してみましょう。
カリカリをそのまま出しても食べない猫には、温めたり柔らかくしたりしてみると食べてくれるケースがあります。
具体的には、ドライフードを電子レンジで人肌程度(約38℃前後)に軽く温めると香りが立ち、猫の食欲を刺激できます。
また少量のぬるま湯や出汁をかけてふやかせば、歯や顎が弱い猫でも食べやすくなります。
市販のウェットフードやふりかけタイプのトッピング、あるいはチュールのようなペースト状おやつをフードに混ぜ込むのも効果的です。
好きな味や香りがほんのり移ることで、警戒心が解けてカリカリを食べ始める猫もいます。
このほか、食事環境を整えることも意外と大切です。
ごはんの場所が落ち着かない場所にあったり、フードボウルが汚れていたりすると猫が食べ渋る原因になります。
静かで猫がリラックスできる環境で、器も常に清潔に保ちましょう。
時間を決めてごはんを出し、食べ残しても長時間置きっぱなしにしないことで生活リズムを整えることもできます。
「食べなかったら一旦下げて、次の時間までおやつはお預け」くらいの姿勢でメリハリをつけると、猫も徐々に学習していきます。
必要に応じて健康チェック・受診を
以上の対策を試しても食べない場合や、そもそも食欲不振以外に体調の異変が見られる場合は、早めに動物病院に相談しましょう。
単なる好き嫌いと思っていたら実は歯痛や消化器の不調で食べられなかった、というケースも考えられます。
特に丸一日以上まったく食事を摂らない状況は大変危険です。
猫は48時間以上栄養を取らないと「肝リピドーシス(脂肪肝)」を起こすリスクが高まると言われています。
24時間連続で主食もおやつもほとんど口にしないようなら、迷わず受診してください。
また、嘔吐や下痢、元気消失など普段と様子が違う症状がないかもチェックが必要です。
少しでも体調が心配なときは無理をさせず、獣医師の判断を仰ぐことが愛猫のためになるでしょう。
まとめ
猫がカリカリを食べないでおやつばかり欲しがるのは、猫自身の偏食傾向やおやつの美味しさに慣れてしまったことなどが主な原因です。
改善するには、おやつの与え方を見直して主食をしっかり食べさせる工夫と、栄養バランスの良い美味しいフードへの切り替えがポイントになります。
根気よく対策を続ければ、偏った食習慣も少しずつ改善していくはずです。
愛猫の健康のため、できることから始めてみましょう。

